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2024/6/11【 第13回関東大学春季交流大会 】vs明治大学 マッチレポート

ラグビー部
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    第13回関東大学春季交流大会A 対明治大学戦

    6月9日(日)・小笠山総合運動公園エコパスタジアム
    △帝京大学24-24明治大学△

    《BRIEF REVIEW》

    春季大会第4戦の相手は、昨シーズン、あの雷雪の大学選手権決勝を戦った明治大学。けっして油断できない対抗戦のライバルだ。また、昨年度の春季大会では台風の影響で中止になったカード。春シーズンとしては2年ぶりの対戦となった。
    立ち上がりは帝京の時間帯。スクラムでペナルティをもらい、ゴール前でのラインアウト。モールは崩れるが、FWでしっかり前に出る。FL青木がインゴールまで持ち込んだが、グラウンディングが求められず、得点できない。
    さらに帝京が攻め続けるが、徐々に相手の激しいディフェンスにプレッシャーを感じ始め、帝京がキックを選択する場面が増える。さらに自陣でペナルティを犯してしまい、ピンチになる。11分、ラインアウトからつながれ、トライを許してしまう(0-7)。
    帝京もここから攻めに転じる。20分、スクラムでペナルティをもらい、敵陣ゴール前でのラインアウト。モールを押し込み、NO.8ダウナカマカマが持ち出してトライ(5-7)。
    ここからお互いキックが増える。ただ、帝京の効果的なキックも全体的なチェイスがやや甘く、相手は余裕を持って蹴り返す。
    27分、スクラムからつながれ、抜かれて、前へのキックを拾われ、トライを奪われる(5-14)。その直後の31分、キックオフのミスから、相手ボールのセンタースクラム。これをつながれ、同じように前へのキックをうまく拾われ、さらに繋がれ、トライを奪われる(5-21)。
    その後も、帝京が耐える時間帯が続く。相手の攻撃に対して、体を当てて守る。ボールを獲得しても、雨で滑る中、相手に拾われ、攻撃権を奪われる。41分、PGを決められて前半終了。5-24での折り返しとなった。
    ロッカールームでは思い通りにいかない表情の選手たちに対して、相馬監督から「けっして悪くない。やってきたことを出し切ろう」「相手の厳しさから逃げる選択をせず、体を張って勝負していこう」と声が掛かる。
    後半の最初は一進一退ながら、帝京はしっかりと相手に体を当てていく。ラックでもFLグアイニらが相手を押し返す。スクラムは相変わらず優勢で、ペナルティをもらう。
    15分、ようやく帝京がいい形で攻める。ラインアウトから展開し、No.8ダウナカマカマが前進。ラックから、SH李-LO坪根-SO大町-FB小村-CTB生田-WTB山本と渡り、山本が大きく前進。さらに、CTB生田-FLグアイニと渡り、グアイニがトライ(10-24)。
    ここから帝京の時間帯。ラインアウトからWTB山本のキックをFB神田がしっかりとチェイスして追いつき、マイボールにする。No.8倉橋がインゴールに持ち込むが、グラウンディングが認められず。ただ、ペナルティのアドバンテージがあり、ゴール前でのスクラムを選択。24分、このスクラムをしっかりと押し込み、No.8倉橋が持ち出し、タックルを受けながらも前進し、最後は手を伸ばしてトライを奪う(17-24)。
    続く28分、ラインアウトからHO當眞が前進。ラックから、LOダウナカマカマが持ち出し、パスダミーも見せながら前進。そのまま走り切ってトライ。ゴールも決まり、24-24と同点に追いつく。
    さらに、WTB山本のキックに対し、ここもFB神田、SH上村らがしっかりとチェイスしてチャンスを作る。ラインアウトから展開し、WTB寺山のトライかに思えたが、その前にスローフォワードがあったと判定されて、ノートライ。
    ただ、ここもアドバンテージをもらっており、ペナルティでスクラムを選択。さらにスクラムでペナルティをもらうと、SH上村がクイック・リスタート。No.8倉橋がインゴールに持ち込むが、ここもグラウンディングが認められずにノートライの判定。
    さらにHO當眞の前身でチャンスとなるが、ゴールがこぼれて惜しくもタッチ。最後は相手の攻撃を受けるが、CTB生田、LO本橋、SH上村、FLグアイニらが好タックル。FL青木のタックルでターンオーバーするも、逆にターンオーバーされてピンチに。ここでFL鈴木が好タックルで止め、最後は相手のノックオンでノーサイド。雨の中での死闘は24-24の引き分けとなった。

    《COLUMN》
    ―― 勝つことは簡単ではない ――

    この日の試合は引き分けという結果に終わり、負けてはいませんが、帝京は久しぶりに白星を逃す結果となりました。白星を得られなかったのは、ちょうど2年前。対戦相手も同じ明治大学、スタジアムも同じくエコパスタジアムでした。

    最初の2戦が新型コロナの影響で中止となり、相馬朋和監督が監督として指揮を執ったまさに初陣となった試合でした。結果は26-35の惜敗。これ以降、帝京は公式戦負けなしでここまで来ていました。

    「勝つことは簡単ではない」「自分たちのチームはまだ何も成し遂げてはいない」

    青木恵斗主将がチームメイトによく語る言葉です。そしてこの日の試合で、この言葉をチーム全員が実感することになりました。

    何もしなくても勝利まで運んでくれるエスカレーターのようなものは、どこにもありません。勝利につながる階段を自力で上っていくしかありません。
    そんな階段をすいすいと上っていたように見えた先輩たちも、実際は常に歯を食いしばりながら、必死の思いで上っていました。この日は、そのことを思い出させてくれる、いいゲームだったと思います。

    おそらく、意識の部分では「(エスカレーターに乗って)簡単に(楽に)勝ちたい」などと考えていた人は一人もいないはずです。しかし、厄介なのは無意識の部分。自分でも意識しないまま、「これまでずっと勝ってきたのだから、次もきっと勝てるだろう」という思いがどこかになかったかどうか。

    青木主将は、「僕自身、今週の練習の中でどこか『勝てるだろう』という思いがあったのかもしれません。僕がそういうマインドでやってしまうと、チームもそうなってしまう」とコメントしていますが、まさに無意識の厄介さが表現されていると思います。

    さらに無意識が厄介なのは「きっと勝てるだろう」がいつの間にか「『ケガをしない程度の力でも(100%の力を出し切らなくても)』きっと勝てるだろう」といった、無根拠な前提条件までくっついてくることがある点です。

    意識の上ではそんなことは微塵も思っていませんから、強く否定したり、コントロールしたりすることが難しい。対処法は、常に意識してコントロールするほかありません。

    その意味でこの日の試合は。この厄介な無意識に気付き、意識の領域に持っていくためのいい経験にもなったのではないでしょうか。ここから帝京がさらに強くなることを予感させてくれる引き分けだったと思います。

    (文/木村俊太・写真/志賀由佳)

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