2024/8/18【 SUMMER TRAINING GAME 】vs早稲田大学 マッチレポート
【 SUMMER TRAINING GAME 】 対早稲田大学戦
8月18日(日)・アンダーアーマー菅平サニアパークメイン
●帝京大学14-38早稲田大学○
《BRIEF REVIEW》
菅平での夏合宿・練習試合。最初の試合は早稲田大学戦。6月の春季交流大会では40-7と帝京が圧勝したが、そこからお互いに大きく成長しているはず。帝京はチャレンジャーとして挑みたい。
開始早々は帝京の攻め。しかし、ミスが出て攻めきれない。また、早々にPR平井がケガで交替するアクシデントがあるが、帝京はひるむことなく前に出る。
だが、相手のプレッシャーもきつく、なかなか前に出られない。帝京はペナルティも多くなる。
それでも20分過ぎ頃までは、お互いに一進一退の攻防が続く。増えるペナルティからゴール前まで攻められる場面が何度もあるが、必死の守りで押し返す。
24分、ハイタックルのペナルティから自陣ゴール前でのラインアウトを献上。モールを組まれ、押し込まれてトライを奪われてしまう(0-5)。
ここからまた、帝京のペナルティが増えてしまう。スクラムでのペナルティからゴール前まで攻め込まれ、ラインアウトからつながれ、キックパスを通されてトライを奪われる(0-10)。
帝京の劣勢はさらに続く。35分、またもペナルティからの相手ボールラインアウト。これをつながれて、失点(0―17)。さらに前半終了間際の41分、ここもペナルティからゴール前まで攻められてのラインアウト。これを押し込まれ、持ち出されて止められずトライを奪われ、前半を0-24で折り返した。
気持ちを入れ直して臨んだ後半。入りの時間帯は帝京が押し込む展開。スクラムでペナルティをもらい、ゴール前まで攻め込む。だが。ここはミスが出て得点できない。逆に攻め込まれる展開となるが、SH上村、FLクッツェ、CTB久木野らの好タックル、そしてFL倉橋のジャッカルで防ぐ。
その後は帝京が攻める時間帯となる。SO本橋(尭)のグラウンダーのキックで深く攻め込み、マイボール・ラインアウト。しかし、ここでは得点できない。
18分、ようやく帝京の攻めが実る。SO本橋(尭)の突破からチャンスを作ってつなぐ。ラックからSH上村が前進。LO鈴木に渡り、鈴木がトライ(7-24)。
この後のキックオフで帝京のミスがあり、ピンチとなるが、ここはなんとか凌ぐ。だが、スクラムでミスが出て、ペナルティを取られてしまう。ラインアウトからつながれ、トライを許してしまう(7-31)。
ここからは切り替えて、帝京の時間帯。31分、ペナルティをもらって、SO本橋(尭)がクリック・リスタート。しっかりつないで、HO知念が突破。FL倉橋にパスし、倉橋が抜け出してトライ(14-31)。
残り時間が少なくなる中、帝京はスクラムでペナルティを取られ、ピンチになる。ラインアウトからつながれ、トライを奪われ、ノーサイド。帝京は14-38で敗れた。
《COLUMN》
―― 敗戦をどう糧にできるか ――
夏合宿での練習試合第1戦、帝京は14-38で敗れました。
Aチームが破れたのはいつ以来だろうかと調べてみると、2022年6月3日の春季交流大会・明治大学戦(26-35)以来。松山千大キャプテンの年で、相馬監督就任後初采配の試合でした。
早稲田大学戦に限れば、2021年8月22日の夏合宿での練習試合(24-40)以来。細木康太郎キャプテンの年でした。この試合のあと、細木キャプテン(当時)はこう語っていました。
「今日の試合は、2年前(の夏)からずっと負けている早稲田大学さんという相手に対して、これまでとまったく同じ雰囲気で戦ってしまった感じでした。(略)いままでは、自分たちのラグビーとは何かが漠然とした状態のまま、試合に臨むこともありました。今シーズンは、漠然とではなく、細かいところまで明確にしていこうとしていますので、今後、さらに明確にして、全員で共有できるようにしていきたいです。」
「自分たちのラグビーとは何かが漠然とした状態のまま、試合に臨んでしまった」と語る細木キャプテン。今日の帝京も、もしかしたらこうした部分があったのかもしれません。
また、岩出雅之監督(当時)はこの試合後、そこまでの夏合宿が順調だったと述べた上で、こう語っていました。
「順調ゆえに心の隙が生まれることもありますし、『順調だからこのくらいでいいかな』というようにハングリーさに欠けてしまうこともあります。その意味でも、今日の敗戦で得た悔しさが、学生たちに次への挑戦心を呼び起こしてくれるものと期待します。」
今日も青木キャプテンのコメントにもあるように、順調だったがゆえに「日々の練習に取り組む姿勢などに隙」が出たり、「『勝てるだろう』という心の隙」が出たりしてしまったのかもしれません。
ちなみに2021年度の細木キャプテンの代も、2022年度の松山キャプテンの代も、どちらも大学選手権で優勝しています。
ゲンを担ぐとか縁起がいいとか、そういう話ではありません。どちらの代の先輩たちも、敗戦を糧に、そこから自分たちを見つめ直して死に物狂いで練習に励み、最後の最後に勝利を掴んだのです。
この時期に、自分たちの足りないものに気付けたのはむしろありがたいことかもしれません。
先輩たちも経てきた苦しい道のり。今シーズンの学生たちがここからどこまで変われるか。しっかりと見守っていきたいと思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)