2025/1/2【 第61全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs 準決勝 マッチレポート
第61回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準決勝 対明治大学戦
1月2日(木)・国立競技場
○帝京大学34-26明治大学●
《BRIEF REVIEW》
大学選手権準決勝の相手は明治大学。昨年度の大学選手権決勝では、雷による長時間の中断、そして大雪の中での死闘を繰り広げた相手だ。対抗戦では勝利しているとはいえ、けっして油断できない。帝京は一戦必勝で臨む。
開始早々はお互いにキックの多い展開。FB小村のハイパントキャッチなど、空中戦ではやや帝京が優位に戦うも、ボールが落ち着かず、攻守が目まぐるしく入れ替わる。ラックでターンオーバーした帝京が、HO當眞、FL森元らの前進でチャンスを作る。
先制したのは帝京。7分、ラックからSH李-LOダウナカマカマ-SO本橋(尭)と渡り、本橋(尭)が抜け出してトライを奪う(7-0)。
その後、攻め込まれる場面もあるが、しっかりとしたモール・ディフェンスで防ぐ。さらに攻められるが、全員が厳しいタックルをし続けて守る。ボールが落ち着かずに攻め込まれるも、FL森元の好タックル、No.8倉橋のジャッカルで防ぐ。
16分、FB小村がハイパント。自らキャッチに行くが、ボールが弾んで、WTB生田にうまく入る。生田がそのまま走り切ってトライ。帝京が14-0とリードを広げた。
このまま帝京がペースを握るかに思えたが、ミスやペナルティが重なり、ここからは逆に攻められる時間が続くことになる。19分、ラックでターンオーバーされ、トライを奪われる(14-5)。
さらにピンチが続くが、LOダウナカマカマの好タックルなどもあり、ゴールラインは割らせない。ゴール前でのモール・ディフェンスも堅く、前進を許さない。
しかし、32分、ハイパントのボールを拾われ、つながれて、トライを許してしまう(14-12)。その後も帝京の守りの時間帯が続く。チャンスもあるが、ミスで得点までは至らない。帝京にペナルティが増え、苦しい時間帯となるが、全員が接点で激しくファイトし、この日、終始堅かったモール・ディフェンスでは相手のモールをしっかりと止める。FL森元、WTB日隈らの好タックル、HO當眞のジャッカルなどもあり、逆転は許さない。14-12でハーフタイムを迎えた。
後半は、前半の反省を踏まえ、修正点を確認して臨んだ帝京が、開始早々からペースを握る。4分、LOダウナカマカマがハイパントをキャッチし、FB小村にパス。小村が前進。ラックからSH李-SO本橋(尭)-CTB大町と渡り、大町が前進。さらにCTB上田へとパスが渡り、上田が抜け出してトライを奪う(19-12)。
さらに、相手のラインアウトからの攻撃に対し、FL森元がジャッカルし、チャンスを作る。8分、ラインアウトからつなぐ。No.8倉橋が前進。ラックからLOダウナカマカマが持ち出し、そのままトライ(26-12)。
その後、ペナルティでピンチになるが、ここでも堅いモール・ディフェンスで防ぐ。17分、相手のフリーキックをFB小村がキャッチし、カウンター・アタック。さらにLO本橋(拓)が前進し、連続攻撃。ラックからSH李-LO本橋(拓)と渡り、本橋(拓)が相手のディフェンダー4人を引きずりながら前進してトライを奪う(31-12)。
前半、苦しんだスクラムも後半は安定し始め、逆にペナルティを奪うシーンも出てくる。32分、CTB大町がPGを決め、34-12とリードを広げる。その後、35分、43分とトライを奪われるが、帝京がリードを守り切り、ノーサイド。34-26で帝京が勝利し、1月13日の決勝戦に駒を進めた。
《COLUMN》
―― 4年力 ――
この時期になると、毎年のように「4年力」の話を書いています。「4年力」とは文字通り、4年生の力という意味です。もう少し具体的に言うと、「4年生がチームを一つにまとめ上げる力」と言っていいでしょう。
この日の準決勝の試合。登録メンバー23人の中に、4年生は13人いました。昨年度の大学選手権決勝では、4年生は23人中11人でした。昨年度の11人でも、それまでのメンバー構成から言うと「多いな」と感じたのですが、今シーズンはさらに4年生が多くなっています。
ただし、試合に出る23人の中に4年生が多いからと言って、「4年力」が高いとは限りません。「4年力」の「4年」は、試合に出る4年生だけを意味しているのではないからです。むしろ、「4年力」の高さは、試合に出ない4年生の力がどれだけチームのために発揮されるかにかかっていると言えます。
学生たちに話を聞く限り、今シーズンの4年生もかなり「4年力」を発揮してくれているようです。チームの雰囲気も、独特のいい緊張感が日に日に高まっていると聞きます。メンバー外の4年生が、残りの時間をどれだけチームのために力を尽くすか。3年生、2年生、1年生たちに、どれだけその「背中」を見せられるか。
あと一戦。相馬監督が記者会見で語ったように、4年生たちには「最後の2校に残った幸せ」を噛みしめ、1月13日までの残り少ない時間を、精一杯、楽しんでほしいと思います。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)