2023/12/23【 第60全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs関西学院大学 マッチレポート
2023/12/23【 第60全国大学ラグビーフットボール選手権大会 】vs関西学院大学 マッチレポート
第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝 対関西学院大学戦
12月23日(土)・秩父宮ラグビー場
○帝京大学78-15関西学院大学●
《BRIEF REVIEW》
いよいよ大学選手権が始まった。初戦(準々決勝)の相手は関西Aリーグ3位の関西学院大学。鋭く前に出続けるディフェンスが特徴の相手に対して、帝京は真っ向から勝負を挑んでいきたい。
試合開始直後から徹底して厳しいディフェンスを見せる相手に、帝京はパスミスやノックオンなどでチャンスを活かせない。FB山口(泰)のナイスキックで深く攻め込むシーンもあるが、得点にまでは至らない。FL青木の前進もターンオーバーされ、チャンスの芽を摘まれる。
しかし、スクラムでは優位に立ち、そこからゲームを動かしていく。12分、スクラムから得たペナルティでショットを選択。FB山口(泰)が長い距離のPGを落ち着いて決め、3-0と先制する。
だが、直後のキックオフからの攻めでペナルティを取られ、すぐに3-3と同点に追いつかれてしまう。その後も相手の厳しいディフェンスは続き、攻めてもなかなか得点にまで至らない。それでも、けっして焦らず、自分たちのラグビーを続ける帝京。その成果が、徐々に見え始める。
FL青木の好タックルからラックでターンオーバー。SH李が前方へキックし、青木がしっかりとチェイスしてチャンスを作る。20分、スクラムからの攻撃でWTB小村が前進、ラックからSH李-LO尹と渡り、尹が抜け出してトライ(10-3)。
その後、ピンチもあるが、FL奥井のタックルでターンオーバーして防ぐ。さらに、WTB小村のキックにFB山口がしっかりチェイスし、相手のノックオンを誘う。
31分、スクラムをしっかりと押し込んで、No.8延原がトライ(17-3)。直後の34分には、ラインアウトから連続攻撃。CTB久木野、PR上杉が前進。さらにつないで、ラックからSH李-CTB戒田と渡り、戒田が前進してトライ(24-3)。
40分、ラインアウトからモールを押し込み、HO江良が持ち出して連続攻撃。ラックからSH李-SO井上-FB山口(泰)と渡り、山口がトライ。ゴールも決めて、31-3で前半を折り返した。
後半も相手の厳しいディフェンスは続くが、前半と違い、接点で帝京がしっかりと前に出るシーンが増える。それによって、攻撃にも勢いが出るようになっていく。
7分、ラインアウトからFL奥井-HO江良と渡り、江良が抜け出してトライ(38-3)。直後の9分には、キックオフから連続攻撃。WTB高本(とむ)、WTB小村、PR津村らが前進。ラックからSH李-CTB戒田-FB山口(泰)-WTB高本(とむ)と渡り、高本が走り切ってトライ(45-3)。さらに13分、ラインアウトから連続攻撃、WTB高本(とむ)がディフェンスをかわして大きく前進し、FL奥井へとパス。奥井が抜け出してトライ(52-3)。
16分にラインアウトからトライを奪われるが(52-8)、直後の17分、キックオフのボールをCTB戒田がしっかりキャッチし、WTB小村にパス。小村が抜け出してトライ(59-8)。
残り20分からも、帝京はやるべきプレーを怠らない。キックに対して、CTB久木野、WTB小村らがしっかりとチェイスし、相手のノックオンを誘う。
23分、ラインアウトからモールを押し切り、HO當眞がトライ(64-8)。26分には、前に出るディフェンスを受け、こぼれたボールを拾われてトライを許すが(64-15)、帝京はその後も落ち着いたプレーを続ける。
29分、ラインアウトからモールで前進。モールは崩れるが、LO尹がすぐに拾って前進し、トライ(71-15)。
この後、ペナルティから大きく攻め込まれるが、SH上村の好タックルなどで防ぐ。さらに攻められるも、PR平井がラックを押し込みターンオーバー。相手ボールのラインアウトも、LOシュミットが奪い、チャンスを作る。
41分、ラインアウトから連続攻撃。SO本橋(尭)が前進。ラックからSH上村-FB山口(泰)-WTB高本(とむ)と渡り、高本がタックルを受けながらトライ。78-15で帝京が勝利し、1月2日の準決勝へと駒を進めた。
《COLUMN》
―― 一戦一戦 ――
大学選手権が始まりました。
帝京の初戦の相手は、関西Aリーグ3位の関西学院大学でした。一般のお客さんたちが試合の行方をどのように予想していたかはわかりませんが、秩父宮ラグビー場の記者席から聞こえてきた声からは、ありがたいことに「帝京が圧倒的有利」と予想していた記者さん(あるいは協会関係者の方々)が多かったようです。
ただ、帝京の選手、スタッフはこうした下馬評とは異なる見方をしていました。相馬朋和監督は、記者会見でこう述べています。
「(分析の結果)関西学院大学さんには接点のしつこさ、厳しさを感じていましたので、それに負けないように準備をしました。」
江良颯主将はこう述べました。
「大差で勝つとは思っていませんでしたし、そういった準備もしていませんでした。1点差でも勝つということをイメージしてやってきて、仮に点差が付くとしてもそうしたことの積み重ねの結果だと思っていました。」
「大学選手権では、簡単に点が取れる相手などいないと全員が理解していたので、僕たちのラグビーをし続けてスコアするということだけ意識していました。」
山口泰輝副将はこう述べています。
「PGを何度か狙いましたが、そうやって得点を積み重ねていって、最後に1点差でも勝てれば次へ進めるということを(江良)颯や相馬監督と話し合っていました。」
特に前半は20分まで3-3、30分過ぎまで10-3と接戦でしたが、そうした得点できない時間帯でも、チームは泰然自若で自分たちのプレーをし続けました。ある記者さんは「前半は接戦だと思っていたけれど、気が付いたら大差が付いていた」と述べていました。
このどっしりとした戦い方こそが、まさに帝京の強さなのでしょう。
また、江良主将はこうも述べています。
「準決勝、決勝を考えながらプレーするのではなく、先のことは考えずにまずこの一試合を勝ちに行こうと言って、準備を進めてきました。」
トーナメントは一戦一戦。目標は優勝ですが、そのためには決勝戦に進むことが大前提。次のゲームも帝京は油断なく、一戦必勝で臨みます。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)