開催日:2026年2月14日(土)
会場:ライトキューブ宇都宮 大会議室202
■概要
ライトキューブ宇都宮にて、帝京大学宇都宮キャンパス リカレント教育プログラム最終回「10年後の新事業展開」成果発表会が開催されました。
本発表会では、これまでの講義・演習を通じて磨き上げてきた構想をもとに、各チームがテーマオーナー企業とともに描いた「10年後の新規事業」を発表しました。人口減少、災害激甚化、インフラ老朽化、脱炭素、担い手不足など、将来を見据えた社会課題を前提に、企業の役割そのものを再定義する挑戦的な提案が示されました。単なる事業拡大ではなく、「企業は地域に何を残すのか」という問いに向き合う発表会となりました。
【講義1】「地域の幸せな未来をデザインする」
武蔵野大学 保井 俊之 氏

保井氏の講義では、10年後の事業構想を考える前提として、ウェルビーイングの視点が提示されました。ウェルビーイングは「はつらつ(身体)・ウキウキ(心)・ワクワク(社会)」の三位一体で捉える概念であり、企業活動もまた社会全体の幸福に資するものであるべきだと語られました。
短期的な利益や効率性だけでなく、長期的に地域や次世代にどのような価値を残すのか。この視座が、本発表会全体を貫く基調となりました。
【VIP挨拶】栃木県副知事 北村 一郎 氏

来賓挨拶では、本プログラムが産学官連携による実践的な取り組みであることが紹介されました。 若者流出や人材不足という地域課題に対し、学生と企業が共に未来を構想する意義が強調され、10年後を見据えた挑戦に対する期待が寄せられました。
【グループ最終発表】
各チームは、テーマオーナー企業の強みを活かしながら、10年後の社会を想定した新事業を提案しました。

リベンジパスタチーム(藤井産業㈱様)は、災害激甚化を見据え、工業団地全体の防災力を高める「インダストリアル・レジリエンス」事業を構想しました。設備販売中心のビジネスから、企業の事業継続を支える価値提供型モデルへの転換を描き、「価格」ではなく「安心」を提供する企業像を提示しました。

KNKUSYS48チーム(日神工業㈱様)は、水道インフラの老朽化と担い手不足を背景に、AIとセンサーを活用した予知保全サービスを提案しました。従来の受注型ビジネスから月額課金型のストックモデルへ移行し、「止めないインフラ」を支える企業への進化を示しました。

RTSチーム(日光金属)は、鋳造工程で発生する廃熱を再資源化する循環型エネルギー事業を提案しました。製造業から環境価値創出企業への転換を目指し、脱炭素社会における新たな役割を提示しました。

ちーむうってぃチーム(㈱栃木銀行様)は、企業と学生が継続的に関わる共創型プラットフォームを構想しました。金融機関が資金の仲介者にとどまらず、人材と企業をつなぐ地域ハブへと進化する未来像を描きました。

日本列島チーム(JA全農とちぎ様)は、農業・自治体・企業を横断する広域連携モデルを提示しました。地域単体での課題解決ではなく、ネットワーク型で価値を創出する仕組みにより、持続可能な地域経済の構築を目指しました。
【講評】帝京大学 地域経済学科 島 裕 教授

島教授はプログラム全体を総括し、学生については、企業との密度の高いグループワークを通じて就業観に変化が見られ、地域企業で働くことの意義や可能性を具体的に認識する契機となったと評価した。一方、社会人受講者については、当初は自社の技術や資源を起点とするシーズプッシュ型の発想が中心であったが、イノベーティブな思考法の実践とグループでの対話を通じて、発想の枠組みを拡張し、より構想力の高い将来ビジョンを描く方向への転換が確認されたと講評した。
さらに、栃木の地域企業には既存事業が堅調であるという共通した基盤があり、このことが新たな挑戦に取り組むための「伸び代」となり得る点が指摘された。そのうえで、学生がワクワクするような可能性を感じる将来志向の経営戦略を構想することの重要性が強調された。結びとして、本プログラムは単なるリカレント教育の機会にとどまらず、「学び」という開かれた関係性を媒介として大企業から中小企業、学生まで多様な主体が信頼関係を創る「地域のイノベーション・エコシステム」を形成する基盤となり得るとの示唆がなされた。
【ポスターセッション】


発表後はポスターセッションが行われ、参加者は各チームのポスターを巡りながら議論を深めました。投票は一人3枚の丸シール方式で実施され、関心や共感が可視化されました。



また、セッション中にはメンターから直接講評や助言が寄せられ、提案の実現可能性や今後の展開について活発な意見交換が行われました。
【総括講評】
武蔵野大学 保井 俊之 氏
(一社)とちぎ圏央まちづくり協議会 業務理事 新見 徹 氏
外部評価委委員 小林 紀夫 氏



総括では、構想力に加えて実装への視点を持つ重要性が示されました。
社会課題を悲観的に捉えるのではなく、価値創造の機会として転換する姿勢が求められることが強調されました。
【修了式・閉会】


修了式では修了証の授与が行われ、全プログラムが締めくくられました。
本成果発表会は、「10年後」という未来志向の時間軸のもとで、企業と地域の新たな可能性を描く機会となりました。
価格提供型から価値創造型へ、単発型から持続型へと発想を転換する視点が共有され、参加者にとって実践につながる学びの場となりました。
■ お問合せ
帝京大学宇都宮キャンパスリカレント教育プログラム
コーディネーター 小川紗理奈
Email: ogawa.sarina.cz@teikyo-u.ac.jp
Tel: 090-7907-9630