水晶とニセモノたち

世の中にはニセモノの水晶がたくさんあります。
今回はニセモノの水晶についてお話しますが、その前に水晶について確認しておきましょう。
水晶は地球が作った鉱物で、ケイ素と酸素が一定の規則性をもって整列した構造を持っています。

最初のニセモノはガラスです。
ガラスはケイ素と酸素という水晶と同様の成分でできています。
しかし、水晶とは異なり、ケイ素と酸素の配置が不規則になっています。

水晶を加熱すると液体になりますが、液体が固体になる時間が短いと、原子は規則正しく配列する間もなく固まってしまいます。
この状態をガラスと呼びます。

厄介なことに、水晶を材量にして作られたガラスには商品名として「溶錬水晶」「練水晶」などの名前が付けられて販売される場合があります。
名前からは水晶と勘違いしてしまいそうですが、ガラスなので水晶を購入したい方は注意する必要があります。
ガラスやプラスチックのような鉱物以外でできたニセモノの宝石を「模造石」と呼びます。


続いてのニセモノは人工水晶です。
人工水晶は天然水晶と全く同一の物理化学的特性を持っている結晶です。
ここで鉱物と書かずに結晶と書いたのには理由があり、鉱物は地質作用で形成された物質にしか使うことができません。
人工水晶のように人が作り出した天然の鉱物と同様の結晶を「合成石」と呼びます。

天然水晶は結晶が大きくなるまでに長い時間がかかりますが、人工水晶は結晶成長を早めるためにアルカリ成分を用います。
このアルカリ成分は極めて微量ながら結晶の中に残るため、科学的な分析を行うと天然水晶と人工水晶を区別することができます。


最後のニセモノとして、人造石というものが存在します。
人造石とは、天然に存在しない人が作り出した結晶のことを指します。
プラスチックなどが水晶の人造石になりますが、ダイヤモンドの人造石としてキュービックジルコニアが有名です。

一言でニセモノといっても、ニセモノの種類は3種類に分けられています。
この3種類のニセモノはすべてまとめて「人工生産物」と呼ばれています。
ニセモノの中には結晶としては天然結晶と同一の合成石も存在し、ニセモノ界も多様であることがわかります。
人工水晶は天然水晶ではありませんが、本物の人工水晶なのです。

もし天然水晶を購入したいのであれば、「この水晶は本物ですか?」ではなく「この水晶は人工生産物ではない天然石の水晶ですか?」と質問してみるとよいでしょう。